〇 OS、アプリケーション、アンチウイルスのデータベース等を常に最新の状態に保つ
〇 UTM導入等によるネットワーク全体の防御を行う
– 1/17号 目次 –
01. Windows 10のアップデート「KB5034441」で多数のインストール失敗報告…今後の再アップデート待ちを
02. 島根県が過去に使用したドメイン名が第三者に取得…注意喚起
03. 12月フィッシング報告件数は90,792件で再度増加、フィッシングサイトURLも急増
Windows 10のアップデート「KB5034441」で多数のインストール失敗報告…今後の再アップデート待ちを
– 1月10日(日本時間)にマイクロソフト(以下・MS)からリリースされた月例のセキュリティアップデートのうち、Windows 10向けの「KB5034441」について、「0x80070643」エラーが発生してインストールできないという報告が相次いでいます。
– KB5034441は「Windows回復環境(WinRE)」に対するセキュリティアップデートですが、後日MSが発表した情報によれば、インストールにはPC上に予め作成される回復パーティションに十分な空き容量が必要としています。
– MSではこの問題の解決策に取り組んでおり、今後のリリースで再度アップデートを提供する予定としています。
– また、これに便乗してマルウェアをインストールさせようとするフィッシングが確認されたとする報告もあります。
https://news.mynavi.jp/techplus/article/20240111-2860896/
https://support.microsoft.com/ja-jp/kb/5034441
https://learn.microsoft.com/en-us/windows/release-health/status-windows-10-22h2#3231msgdesc
https://www.nichepcgamer.com/archives/kb5034441-phishing-scam.html
AUS便りからの所感
KB5034441で修正される脆弱性(CVE-2024-20666)は、ディスク暗号化機能(BitLocker)で暗号化されたデータにアクセスされる可能性があるものですが、悪用には攻撃者がPCそのものを直接取り扱う必要があるとされています。
MSからはKB5034441をインストールするための回避策も提示されていますが、回復パーティションのサイズを変更する等高度な手順をとるものであり、一般のユーザーには実行が難しいものと思われますので、脆弱性を悪用されるシナリオの困難さも鑑み、再度リリースされるであろうアップデートを待つのが無難でしょう。
PC自体を盗難されたり、第三者に物理的に操作されないよう保護する機構の導入は肝要ですし、またローカルからのみ攻撃可能とされる脆弱性であっても、感染したマルウェアや不正アクセスした攻撃者によって悪用可能になるものもあることから、アンチウイルスやUTMによる防御も欠かさずに行うことは言うまでもありません。
島根県が過去に使用したドメイン名が第三者に取得…注意喚起
– 1月15日(日本時間)、島根県より、県が各種事業等のために登録していたドメイン名が運用終了後に第三者に取得されていたとして注意喚起が出されています。
– 今回の注意喚起で挙げられているのは「島根県新型コロナ対策認証店認証制度(shimane-ninsho.jp)」「スモウルビー・プログラミング甲子園開催事業(smalruby-koshien.jp)」および「しまねものづくり人材育成支援 Navi(shimane-monodukuri.jp)」の3ドメインとなっています。
– 県では当該ドメイン名へのリンクを貼っているWebサイトの管理者に対しリンクを削除するよう呼び掛けるとともに、県民および県庁内へも周知するとしています
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2401/16/news101.html
https://www.pref.shimane.lg.jp/life/information/joho/densi_jichitai/domein.html
AUS便りからの所感
県では2023年10月27日にも、同様に再登録されていたドメイン名として「第71回全国植樹祭しまね(syokujusai-shimane2020.jp)」「Go To Eatキャンペーンしまね(gotoeat-shimane.jp)」および「ご縁の国しまね(shimane-goen.jp)」を挙げており、今回を含め計6つのドメイン名が該当します。
つい最近まで使用されていたようなドメイン名が十分な期間を経ずに失効してしまい、第三者に登録されてしまう「ドロップキャッチ」については、2023年9月にはNTTドコモが使用していたドメイン名が管理の不手際で失効し、ドメイン名管理業者によるオークションから買い戻したことが報じられています。
ドロップキャッチの発生を想定しての事前事後の対策として、一時的なイベントのために専用のドメイン名を(jpやcom等で)新規に登録するよりも、既存のドメイン名の下にサブドメイン名を作る、または地方自治体であれば「lg.jp」を使う等を検討すること、またイベントやサービスの終了においては、終了の告知ないしサイトの閉鎖後も可能な限り長期間はドメイン名を維持するよう計画すること等が推奨されます。
12月フィッシング報告件数は90,792件で再度増加、フィッシングサイトURLも急増
– 1月15日(日本時間)、フィッシング対策協議会より、12月に寄せられたフィッシング報告状況が発表されました。
– 12月度の報告件数は90,792件で、11月度(https://www.antiphishing.jp/report/monthly/202311.html )の84,348件から6,444件増加しています。
– フィッシングサイトのURL件数は17,172件で11月度(10,678件)から6,494件増加、悪用されたブランド件数も80件で11月度(73件)から7件増加となっています。
– 最も多く報告されたのはETC利用照会サービスを騙るフィッシングで報告数全体に対する約24.3%、次いでそれぞれ1万件超だったAmazon、マイナポイント事務局、三井住友カードと合わせて約69.4%、さらに1,000件以上報告された11ブランドまで含めると約89.7%を占めたとのことです。
https://www.antiphishing.jp/report/monthly/202311.html
https://www.antiphishing.jp/news/alert/smime_20231215.html
https://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/1555491.html
AUS便りからの所感
同協議会が12月に出した注意喚起の一例として、三井住友カードや三井住友銀行を騙るフィッシングメールに非正規のS/MIME電子署名ファイルが添付されているものがあり、署名を検証しないメーラー等でなりすましかどうか判断できないユーザーを誘導する意図があったとされています。
フィッシングサイトURL件数の急増については、フィッシングサイトへのリダイレクト元として、Cloudflare Workersで付与できるサブドメインを悪用するケースが増加(全体の約37.2%に該当)したためとしています。
Gmailが発表した、@gmail.com(および @googlemail.com)宛にメールを送信する相手にSPF・DKIM・DMARCの設定等のメールセキュリティ要件を満たすよう要請する「メール送信者のガイドライン(https://support.google.com/mail/answer/81126?hl=ja )」の適用が2月1日に迫っていますが、最大手のメールサービスである以上「対応しなくてよい」ということはほぼ有り得ず、またその他の取引相手をフィッシングから保護する意味でも、全ての組織でドメイン名・メールサーバーにおける対応が必須と言えます。