古い「Internet Explorer」が呼び出される脆弱性…7月のWindowsアップデートで修正

セキュリティニュース
ここで紹介するニュースは、ほとんどの場合下記の方法で対策できます。
〇 OS、アプリケーション、アンチウイルスのデータベース等を常に最新の状態に保つ
〇 UTM導入等によるネットワーク全体の防御を行う

古い「Internet Explorer」が呼び出される脆弱性…7月のWindowsアップデートで修正

– 7月9日(現地時間)、セキュリティベンダーのCheckPoint社より、Windowsにおいて長らく未修正だった脆弱性「CVE-2024-38112」について注意喚起が出されています。

– 脆弱性はWindowsのMSHTMLプラットフォームに存在し、不正な「.url」拡張子のファイルにより、既に廃止されたWebブラウザーである「Internet Explorer(IE)」を呼び出され、IEの脆弱性を悪用する攻撃に繋がる可能性があるとしています。

– 脆弱性は同日にマイクロソフト(以下・MS)よりリリースされた月例のアップデートで修正されましたが、CheckPoint社ではこれを悪用した攻撃が2023年1月から確認されていたとしています。

– CheckPoint社ではIPS等同社製品で脆弱性を悪用するファイルを遮断するよう対応したとしており、一方でWindowsユーザーに対しアップデートの適用を強く推奨しています。

AUSからの所感 AUSからの所感

IEは2023年までにセキュリティアップデート等のサポートが終了し、MSでは既に後継のブラウザーとしてEdgeを提供していますが、IEでのみ動くようなWebサイト・Webアプリケーションに対応する「IEモード」も2029年まで提供されていることから、最新のWindowsである11においても引き続きIEが残存しており、VBScript等で呼び出す「裏技」がネットで紹介されたりしています。

CVE-2024-38112の悪用には攻撃対象のユーザー側にいくつかの手順をとらせる必要がある模様ですが、IEが想定外の経路で起動し、それに含まれる未知・未修正の脆弱性等が悪用される恐れがあることには注意が必要です。

今月リリースされたWindowsのセキュリティアップデートを必ず適用することはもちろん、以後も信用できない相手からの誘導等で安易にIEの起動や常用を行うことがないよう注意を払うことが重要です。


東京ガス子会社へ不正アクセス、取引先約416万人分等の個人情報流出か

– 7月17日(日本時間)、東京ガスとグループ会社の東京ガスエンジニアリングソリューションズ株式会社(以下・TGES社)より、TGES社が保持していた個人情報が同社への不正アクセスにより流出した可能性があると発表されました。

– 被害を受けたとされるのは大きく三種類に分類され、(1)TGES社が「業務上必要な情報として業務委託元から提供を受けている一般消費者」約416万人分の氏名・住所・連絡先等(東京ガスとの「家庭用の都市ガス、電気などの契約情報」は含まれないとのことです)、(2)「法人用の都市ガス、電気、サービス」で取引のあった法人等の所属者(人数は調査中とのこと)の氏名・メールアドレス等業務上連絡先・金融機関口座番号・マイナンバー情報等(クレジットカード情報は含まないとのこと)、および(3)TGES社従業員(退職者含む)約3,000人分の氏名・住所・金融機関口座番号情報(約1,000件)・クレジットカード情報(8件)、とのことです。

– TGES社のネットワークが不正アクセスを受け、同社および東京ガス社のサーバーに保管されている情報について流出した可能性があることが7月9日に判明したとしています。

AUSからの所感 AUSからの所感

一部報道によれば、不正アクセスはVPN装置を経由して行われ、ファイルサーバーのアカウント情報が窃取されていたとしていますが、個人情報の不正利用は確認されていないとのことです。

国内での不正アクセスによる個人情報流出の事例は今回のようなVPN装置からの侵入(脆弱性の悪用もしくは推測されやすいパスワードの利用が主な原因)と、ランサムウェアの感染によるものが目立っている印象があります。

社内ネットワークないし個人情報等を保存するサーバーへ第三者から安易にアクセスされることのないよう、PC・サーバーのみならず各ネットワーク機器についてOS等を最新のバージョンに保ち、VPNやサーバーにログインするためのアカウントとして推測されやすいパスワードが設定されているもの、さらにはその状態で使用されないまま残されているようなものは削除するアンチウイルス・UTM等による防御を固める等様々な防衛策をとることが重要です。


パリ五輪チケットに関する詐欺サイト、各国当局やセキュリティ企業が注意喚起

– 7月16日(日本時間)、「Forbes JAPAN」誌のWebサイトにおいて、同27日に開催予定のパリオリンピックのチケットに関連する詐欺行為への注意喚起が各国当局や複数のセキュリティ企業等から出されていると報じられています。

– 記事では、「チケットを特別価格で提供する」あるいは「完売したはずの競技のチケットを販売する」と謳う詐欺サイトへの警戒や、同五輪に出場予定の選手の家族が詐欺の被害を受けたケースが挙げられています。

– またセキュリティ企業のProofpoint社によれば、Googleでチケットサイトを検索した結果において、公式サイトの次に「paris24tickets[.]com」というドメイン名の詐欺サイトが広告枠で表示されていたとしています。

– フランス当局では、現在までに338件の詐欺サイトを特定し、51件がすでに閉鎖、ほか140件に対し法執行機関から通告を行っているとしています。

AUSからの所感 AUSからの所感

オリンピックやワールドカップ等スポーツイベントから地震・台風といった事故・災害や大規模な感染症に至るまで、世界が注目する大きな出来事には必ず便乗したサイバー犯罪が起こり得ます(やはり今年実施されるアメリカ大統領選挙でも、例えば2016年にロシア等が関与したとみられるサイバー攻撃が発生しています)。

2021年に開催された東京オリンピックでも、公式サイトに類似したドメイン名による詐欺行為・マルウェア感染を行う不審なサイトが多く確認されています。

非公式で安価に何らかのサービスが受けられるようなものを安易に検索して素性の知れないサイトに軽率に個人情報・クレジットカード番号等を入力することは決して行わないようにし、また不審な宣伝や通知を騙ったSMSやメールを受け取った際にも、セキュリティ関連団体・組織からの注意喚起、本物の業者からのメールやSMSの運用に関するポリシーを確認し、無闇にリンクをクリックしない等に注意してください。